歯科インプラント成功の基準
インプラントの失敗を考えるためには、何が失敗なのか?どうなったら失敗なのか?という事をはっきりとさせなければなりません。
では、何が失敗なのでしょうか?失敗とは成功の反対だという考えがあります。 ここでは世界的に定義されている「インプラントの成功基準」 をはっきりさせることで「インプラントの失敗とは何か?」という事を考えてみたいと思います。
カナダのトロント会議(1998年)でのインプラントの成功基準歯科
- インプラントは、患者と歯科医師の両者が満足する機能的、審美的な上部構造をよく支持している。
- インプラントに起因する痛み、不快感、知覚の変化、感染の兆候などがない。
- 臨床的に診査する時、個々の連結されていないインプラントは動揺しない。
- 機能開始1年以降の経年的な1年ごとの垂直的骨吸収は、平均0.2mm以下である。
1ついては言ってみればあやふやです。科学的でない。患者が満足するとは「科学」でなく「感情」で決まるからです。
どんなに良くできても患者が「満足しない」と言ったら成功じゃないという1990年代の基準は問題でしょう。 このトロントコンセンサスにより2000年代の患者は法廷で「このように期待した」と言い張る根拠になったのでしょう。 終わりのないインプラント訴訟の時代の始まりでしょうか?
2については、一見良いようですが、「感染」については、全く感染がない口腔内があるのか?口腔内は常在菌に感染している状態が正常なのですから、 「感染」という言葉はもっと具体的にしめさないとこれもトラブルの原因になるかも知れません。
3これは当たり前の話。動揺するインプラント補綴物はすなわち失敗です。
4については、具体的数値について1990年代の時点でに決めていいのか?疑問は残ります。 実際にその後のインプラント体の表面正常は進歩しているわけですから、この数値は見直されるべき時がくるかも知れません。 「数値は5年ごとに評価すべき」という含みを残して欲しかったです。