インプラント周囲炎

インプラント治療による失敗で最も多いといわれている失敗原因は、偶発的な医療事故ではなくて、担当歯科医師の技術不足、歯科医師の知識不足といわれています。

2007年の東京でインプラント死亡事故をおこしてしまった歯科医師は、警視庁捜査１課の調べに対し「当時は、手術した位置に動脈があるとは知らなかった」と供述しているそうです。この件の真実は分かりませんので、論評はしませんが、インプラント治療をしようかと検討している患者が恐れているのは、正にこの点ではないでしょうか？

つまり、「この先生で大丈夫なのだろうか？」という事の答えが知りたくて、ネットで検索してしまうのではないでしょうか？

さて、ここからの話は、死亡の話でありません。もっと身近なインプラントの失敗の話です。
このレントゲンを見て下さい。

インプラントは、本来顎骨の中に埋めなければいけませんが、このケースでは、インプラントは、サイナス（上顎洞）といわれる鼻の横の空洞に突き抜けています。

この執刀医は、突然歯科医院を閉鎖してどこかへ行ってしまいましたが、残された患者さんは大変に困っています。

サイナス（上顎洞）に炎症が起こっています。分かりやすく言えば、蓄膿症の状態です。

緑色の矢印のところ、黒い部分が正常です。

赤い矢印のところ、グレーになっているのは、腫れあがった粘膜です。症状が出ているなら治療の必要があります。

治療のためには、インプラント除去が必要です。

歯科医院は閉鎖して、すでに連絡がつかない担当医。こう考えると、に〇〇年保証という言葉にも慎重にならないといけませんね。

次は、別のケースです。

インプラント治療済みの患者の話ですが、骨に埋まるインプラント部とそこに被せる人工歯の金属が全く適合していない状態で治療を終えています。

しかも、本来機械のトルクレンチでトルクをかけて締めるはずの固定ネジに対し、機械を使わずに手指で留めるだけだったそうです。

これではいけません。患者は頻繁に緩んだネジを締めるために毎月歯科医院に通っていたそうです。

日本の歯科医師であればインプラントの勉強をしたことが無くても、インプラント治療が認められています。インプラント認定医もいますが、これは国家資格でないので、インプラント治療は歯科医師なら誰がやっても良い仕組みなのです。

これは、私見ですが、インプラントの失敗の多い歯科医師の特徴として、数社のメーカーの複数のインプラントを同時期に使い、どれが失敗の少ないインプラントなのかと患者の人体を使って確かめる趣味を持っている傾向にあるように感じています。

私は、1人の歯科医師が同時期にインプラントの手術をした患者のレントゲンを見たことがあります。

その患者の顎には4種類以上のメーカーのインプラントが入っていました。

その歯科医師が言うには、左右の上顎の小臼歯の別のメーカーのインプラントは同じ日に手術したといっていました。

どちらが長持ちするか知りたいからだそうです。

せめて、これを読んでくれた人だけでも、慎重に歯科医師を選んで欲しいものです。